日本人は一年間に、ひとり329個も卵を食べる世界でもトップクラスの卵大好き国民なんです。
ほぼ一日に一個食べている計算になります。
その消費量は、メキシコ・マレーシアに次いで世界第三位。
卵かけご飯やすき焼きなど、日本は世界でも珍しい、卵を生で食べる習慣のある国です。
日本人の大好きな「卵」。
そんな卵の栄養や、生卵と加熱した卵の違いなど、卵の魅力をたっぷりご紹介します。
卵は完全栄養食?!
完全栄養食とも言われるほどの栄養豊富な食材、「卵」。
ビタミンCと食物繊維を加えると、私たちが生命を維持するのに必要な栄養素のほぼすべてが含まれていると言われています。
ビタミンCと食物繊維を補える、野菜などと一緒に摂取するのがお勧めです。
美肌にもとっても重要な栄養素である、野菜に含まれるビタミンA・E・βカロテンなどは脂溶性、つまり脂と一緒に摂取したほうが、体内に吸収しやすくなるのです。
卵の脂質と一緒に摂る事で体内に効率よく吸収されます。
卵は良質なタンパク質の宝庫
体内で筋肉や臓器や血液、皮膚や髪の毛などの成分となっているのがタンパク質。そのタンパク質を作っているのが、アミノ酸です。
アミノ酸が不足すると、髪が傷んだり肌荒れを起こすばかりでなく、免疫力が低下したり疲れやすくなるなど、健康に様々な影響を与えます。
その中でも人の体内で合成することが出来ない必須アミノ酸は、毎日の食事から必ず摂取することが推奨されています。
そんな9種類の必須アミノ酸をバランスよく含んでいるのが、「卵」なんです。
卵のコレステロールは高いの?
Mサイズの卵一個に、235mgのコレステロールが含まれています。
かつて『卵は一日一個まで』と言われていました。
しかし最近、食物からのコレステロール摂取量と血液中のコレステロール値の因果関係は無かった、と考えられるようになりました。
卵の摂取量と、脳卒中の死亡率や糖尿病にかかるリスクなどは関連がないとされています。
コレステロールは食事からだけでなく、体内でも作られています。
体内で作られるコレステロールの量は、食事から摂取したコレステロールの量によって調整されています。
つまり食事からコレステロールを多く摂取したときには、体内で作られるコレステロールの量が減少するというわけです。
こうして体内のコレステロールの量はバランスを取って、一定に保たれているのです。
ですので健康な人が、一日に2~3個の卵を食べてもコレステロールの値は上がりません。
しかしこんな実験も行われています。
乾燥した卵黄を一日三個食べ続けるという実験をした結果、血中コレステロールの値が上昇しなかった人が約七割でしたが、三割の人は血中のコレステロールが上昇しました。
卵は栄養バランスに優れた食材ではありますが、血中コレステロールの上昇しやすい体質の人にとっては、過剰摂取を避ける必要のある食物であるともいえます。
生卵と加熱した卵による、栄養や吸収の違いは?
生卵
生卵とゆで卵、栄養の違いはあるの?
生卵とゆで卵に、栄養成分の極端に大きな違いはありません。
ただし加熱した卵は、熱に弱い成分「ビタミンB 群」と「レシチン」が減少してしまいます。
これらの栄養を丸ごと摂取したければ、生で食べるのがお勧めです。
レシチンにはコリンと呼ばれる成分が含まれ、これが脳細胞の老化防止に役立つと言われていて、アルツハイマーの予防に期待が出来るのではないかと注目されています。
納豆には生卵よりも半熟卵がオススメ!
水溶性のビタミンであるビオチンは、皮膚や粘膜、爪や髪の毛の健康に深くかかわっています。
不足するとアトピー性皮膚炎などの皮膚症状や、食欲不振、うつ、クローン病、糖尿病などのリスクが高まります。
そんなビオチンですが、沢山の生卵を一度に摂取した場合に、卵白の中にあるアビジンと結合して吸収を妨げ欠乏することがあります。
朝食の定番「納豆&生卵」の組み合わせでは、納豆に含まれるビオチンの吸収が、生卵のアビジンの影響で下がってしまうんです。
ですがアビジンは、熱を加えると変性します。
納豆のビオチンを効率よく吸収したい場合には、組み合わせる卵は「生卵」よりも「半熟卵」がお勧めですよ。
半熟卵(温泉卵)
吸収率一等賞!半熟卵
実は栄養の吸収率が一番いいのは、半熟卵なんです。
半熟卵、と一口に言っても色々な硬さがありますよね。
吸収率の最もいいとされる卵は、黄身も白身もトロトロの「温泉卵」なんです。
タンパク質に関しては、生卵の吸収率が51%であるのに対して、温泉卵の吸収率はなんと91%。
かなり大きな違いですね。
温泉卵のめちゃくちゃ簡単な作り方
①卵がかぶるくらいの量のお湯を沸かします。
②沸騰したら火を止めます。
③そのお湯の中に卵をポチャン。
④12分そのまま放置します。
⑤12分経ったら水で冷やして出来上がり。パかッと割れば、簡単温泉卵の出来上がりです。
ゆで卵
皮膚や髪の毛が気になる人は、茹で卵をどうぞ
水溶性のビタミンである「ビオチン」。
皮膚や髪の毛の健康に影響を与えると言われているビオチンを卵から摂取したい場合には、生よりも断然ゆで卵が適しています。
抜け毛が気になる人や、腹持ちがいいのでダイエット中の人などは、ゆで卵がお勧めです。
ゆで卵は消化が悪い?
生卵・半熟卵・ゆで卵の中で、もっとも消化の悪いのはゆで卵です。
次いで生卵。一番消化がいいのが温泉卵などの半熟卵です。
胃腸の弱っている時や風邪の時などは、トロトロの半熟卵で頂きましょう。
ゆで卵の殻を剝きやすくする裏技
卵をゆでる前に、卵の太いほうの端をコツコツと軽く叩いてヒビを入れておきます。
後はいつも通りに塩を入れたお湯でゆでましょう。
たったこれだけで、ゆで卵の殻がツルンときれいにむけるんです。
生卵とゆで卵はどちらが傷みやすい?
卵白には、風邪薬にも利用されているリゾチームという抗菌作用のある酵素が含まれていて、茹でるとその酵素が働けなくなってしまうので、茹で卵より生卵のほうが長持ちするのです。
卵黄と卵白、栄養の違い
栄養たっぷり!卵黄
卵白よりも卵黄のほうが栄養成分は豊富です。そして多くのタンパク質が含まれています。
他にも、疲労回復を助けるビタミンB群や美肌に効果的なビタミンA、免疫力を高めるビタミンD、ミネラル、脂質などが含まれています。
また卵黄に含まれるコリンという脂質由来の物質は、アルツハイマー型老年痴呆の予防や脳機能の改善への効果が期待されています。
ダイエットにピッタリ!卵白
卵白は脂質が少なく低カロリーであるにもかかわらず、タンパク質が多く含まれています。
その為、ダイエットを頑張っている人にピッタリです。
他にも、ナトリウム・カリウム・糖質や脂質の代謝を促すビタミンB2、セレンも含まれています。
セレンという栄養素はあまり知られていませんが、悪玉コレステロールを酸化しづらくするなど、強い抗酸化力をもつ酵素の構成成分で、様々な疾患の予防効果が期待されています。
ダイエットならウォーキングもお勧め!
捨てるなんてもったいない!カラザの栄養
カラザとは、卵の中にある白い紐のような部分を指します。
卵黄の上下二か所についていて、黄身を中央に位置させておくために存在します。
口当たりが悪いので、料理をする時には外して捨ててしまうことが多いのですが、実は意外にも栄養満点だったんです。
主にタンパク質で出来ているカラザには「シアル酸」という成分が含まれていて、免疫力を向上させる効果や美肌効果、育毛効果も期待できます。
生で食べるときやお菓子作りの際には、口に残って気になってしまうかもしれませんが、卵焼きや目玉焼きなどの時には、勿体ないのでそのまま召し上がる事をお勧めします。
栄養たっぷりなだけでなく、ダイエットと食費の味方「卵」。
消化の速さやカロリーなど、目的に合った調理法で毎日美味しく卵を味わいましょう。